〔開催報告〕
公害資料館ネットワークで、初めてのオンライン研究会を開催しました。
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<会員限定>公害資料館ネットワーク 企業研究会
五十嵐実さんに聞く「 公害問題から学ぶ対話の場づくり」
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◆日時:2020年8月19日(水)15:00-17:00
◆ 参加者:12名
◆ゲスト:五十嵐実さん(日本自然環境専門学校校長、 一般社団法人あがのがわ環境学舎共同代表)
◆報告:
オンラインでの開催とあって、全国各地からつないでの研究会。初の試みです。
まずは自己紹介、参加者は普段どのような研究や活動をされているか、なぜこの研究会に参加しようと思ったのかなど交流しました。
ビデオ上ではありますが、“顔の見える”交流となりました。
続いて、 五十嵐実さんから『SDGs時代のパートナーシップ』(※) に収録された論文「問題解決の推進力を強化する場づくり」 の内容を中心に、 対立を乗り越える対話の場作りについて40分レクチャーいただきました。
自然環境専門学校での教育活動や、阿賀野川流域で新潟水俣病のもやい直し事業に関わっていた五十嵐さんが、お隣の富山はどうされているのか?知りたい!と参加した2009年の『公害の今を伝えるスタディスター』でイタイイタイ病の問題解決のしかたに感銘を受けて公害資料館ネットワークに関わるようになったこと、2014年富山で開催した際に、緊張ある信頼関係を関係者がそろってのシンポジウムができたことをお話しされました。
参加者からは同時代に新潟水俣病をどのように見ていたのか、「共通の価値観を探っていく」新潟ではどのように?などの質問が出ました。
その後、参加者は3グループに分かれて、感想を共有し、講師にもう少し聞きたいことなどのキャッチボールをしました。
中でも、対話の場である「ロバダン」の400回開催(!)への関心が集まりました。
意見の違いがあっても「そう考えられているんですね」といったん受け止めることや、学習、共通体験の中で、こちらは事実を伝える。皆が同じものを食べたり同じことを考えたりするなかで考えるしかない、生活の話を聞くという言葉が印象的でした。
ちなみに・・・五十嵐さんは、メンタルモデルという言葉を使われましたが、ピーター・センゲの「学習する組織」で使われている言葉で、対話によってメンタルモデルの違いを理解したうえで、できることをしていくことが大事だそうです。
「企業のガードは固く、こえられない溝を感じることもあり、理想と現実の違いを考えさせられる」という参加者の意見もありました。課題も残ります。あきらめずに人間の可能性を信じてチャレンジしたいと思うという五十嵐さんのいう言葉が印象的でした。
(報告:藤原園子((公財)水島地域環境再生財団事務局長、公害資料館ネットワーク企業研究会担当委員)
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参考文献
(※佐藤真久・関正雄・川北秀人編著『SDGs時代のパートナー シップ:成熟したシェア社会における力を持ち寄る協働へ』 学文社、2020年)
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*当日の内容を録画したものをYoutubeで公害資料館ネットワーク会員限定で公開しています。
公開日時 : 2020年08月22日 【研究会】