公害教育研究会(3月集会)でワークショップ型オンライン研究会を開催

〔開催報告〕公害教育研究会(3月集会)でワークショップ型オンライン研究会を開催
◆日時:2021年3月21日(日)13:00~15:00(Zoom)
◆参加者:21名
◆概要:当日は3部構成で進められました。最初に、(1)今夏出版予定の『公害からの問いかけ(仮)』の内容と目次案が紹介されました。続いて、(2)編集委員のおひとり小川輝光さん作成の「公害曼陀羅(まんだら)」・「系統樹(けいとうじゅ)」図が披露され、それをたたき台として公害の全体像の示し方について参加者全員でオンライン意見交換を行いました。一部グループでは実際にGoogle Jamboardを用いたワークショップにも挑戦しました。最後に、(3)グループごとで出た意見や指摘を共有し、閉会となりました。
 
◆報告
今回も、高田先生による研究会開会挨拶からなごやかに始まりました。最初に、丹野編集委員より、公害教育研究会2016~2019年度プロジェクト成果物として今夏出版予定の『公害からの問いかけ(タイトル未定)』について、執筆趣旨や目次案を画面共有しながら作業の進捗状況などが紹介されました。事例ごとに専門特化しがちな「公害」について、大学生など初学者向けのテキスト(入門書)がこれまでほとんど存在しませんでした。「公害を学ぶ」意義を社会的に発信する上でも、公害について初めて学ぶ人向けの共通テキストがまさに求められている所以です。現段階(案)では、特定の公害事例を知ることを通じて「ココを考えてほしい!」という問題を各章でピックアップし、最終章では公害について伝え続ける、学び続けることの意義を編集委員会で今後、練り上げて作成することが確認されました。なお、巻末のリソースガイド・資料紹介を特に充実させることで、本書を手に取った人のさらなる学びを後押しする形となる予定です。より広範に届けるべく6月にはクラウドファンディングを通じた支援のもと、電子書籍化も目指したいと考えられています。
 続いて、小川編集委員より「公害曼陀羅」・「系統樹」図の簡単な紹介がなされました。「公害」について、一覧で見て把握できるような、わかりやすい見取り図(全体図)がない、という疑問点からスタートした試みです。「曼荼羅」は不可知な領域の視覚化(これから起きうる未知の公害も含む)や全体像を示す上では有効ながら、常にその内容を見直してゆく作業が必須である前提も確認されました。農本主義・思想の影響から「曼陀羅」を思いつき、学ぶ「私」を中心とした図(パート1)、学びの段階を示す円形(パート2)、イメージ図(パート3)、そして「系統樹」(パート4)の4試案がこの日、提示されました。
 ワークショップ型意見交換に移る前に、岩松真紀さんよりGoogle Jamboardの使い方に関する簡単なレクチャーがありました。Google社が提供するオンライン仕様のホワイトボードは、遠隔にありながら参加者がそれぞれに直接、書き込むことができる意見交換促進ツールとも言えます。
参加者はファシリテーターを一人ずつ含む3つのブレイクアウトルームに分かれ、30分ほどグループディスカッションをしました。筆者が参加したブレイクアウトルームは、実際にGoogle Jamboardに書き込みつつ「系統樹」の有効性を検討しました。
 再度、Zoom全体会場に集合し、それぞれのグループ発表をもとに総合意見交換の場となりました。グループ1からは、本書で学んだ読者に「当事者性」をもってもらうため、「あなたが曼荼羅を作るとしたら? 」といった作成ワークをつけて「曼荼羅(作成)コンテスト」のように、学びの入り口と出口を意識することが提案されました。グループ2では、曼荼羅にあえてすきまを作ることや、曼荼羅を作成すること自体を学びにすることへの賛成意見が出る一方、曼荼羅そのものはあまり作り込まず、簡略化したほうが若い人が取り入れやすくなるのではといった意見も出ました。当事者性の低さや、公害は過去の出来事というまなざしの払拭こそが重要であり、曼荼羅に書き込みすぎて完成度を高めすぎるとかえって読者の学習意欲の低下を招きかねない、という危惧も出ました。グループ3は、樹木とする点は自然環境を想起しやすく評価できるものの、先端にゆくほど細かくなる公害問題をどう配置するかが悩ましいという意見が出ました。また、枝葉の先で公害問題が互いに繋がったりするイメージを与えられる一方で、葉が青々と生い茂るのは逆効果なので灰色で表すのか、それとも枯れ木にするのか、公害はそもそも根っこで当時の社会的事情が大きく影響するので根っこにそれらを配置すると面白いのでは、などGoogle Jamboardを用いたことで視覚的な訴え方への言及が多くなりました。3グループで出た意見を受け、小川さんからコメントも寄せられました。あくまでこれらの図は共通理解を深めるためのたたき台であり、常に更新してゆく必要性が述べられました。
 閉会に先立ち、高田先生による挨拶では曼荼羅等のたたき台作成に深夜遅くまで尽力くださった小川さんへの感謝とともに、若い人の力で公害教育を変えてゆく必要性が強調されました。
(神長唯 都留文科大学)

公開日時 : 2021年04月20日 【

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