〔開催報告〕クロストーク “ナガサキピースミュージアム×公害資料館”

12月19日に開催した
トークイベント(kougai.sakura.ne.jp/wnwp/news/326)の開催報告です。
当日、会場で参加の学生さんが作成してくれました。

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影、光る―全国公害資料館からのメッセージ―
【クロストーク】“ナガサキピースミュージアム×公害資料館”

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◆日時:2020年12月19日(土)14:00~16:00
◆出演
大串秀人さん(ナガサキピースミュージアム)
林美帆さん(公害資料館ネットワーク)
聞き手:友澤悠季さん(長崎大学環境科学部)
■参加者:計31名(現地参加9人、オンライン参加22名)
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〔トーク1〕 ナガサキピースミュージアムについて(大串秀人さん)
NPO団体が設置、運営。被爆地として平和関連の情報発信だけでなく文化や国際交流についても扱う。設立の経緯は歌手のさだまさしさんの呼びかけをきっかけに募金をつのり設立。災害支援についても扱っており、東日本大震災への支援を機に福島県の小中学生を平和学習と保養のために長崎に招待する活動もしてきた。小さなスペースであるが地域に根差した独特の展示もしており地元の新聞やニュースなどで取り上げられることも多い。

Q展示の内容のコンセプトは
原爆については専門の原爆資料館があるが、身近な平和を取り上げようと様々な分野のものも取り上げ、日常の中に平和について考える場を作りたいと考えている。

Q大串さんご自身がミュージアムにかわったきっかけは?
もとは長崎市職員であった。仕事の中で平和に関する活動にかかわることもあり、そういった際にさだまさしさんのイベントを担当する機会があった。NBC長崎放送のOB・OGの方々もこの活動によくかかわっており、そういった方々との交流もあったことで定年を機にかかわり始めた。

〔トーク2〕 公害資料館ネットワークと共通パネルができるまで(林美帆さん)
私は、あおぞら財団の職員で、西淀川・公害と環境資料館の運営に関わっている。あおぞ
ら財団の大きなミッションの一つ課題として全国の公害の被害地域の再生がある。資料館といっても公立、民間いろいろある、公害資料館の特徴として場所として建物を持たず、被害地域をめぐるフィールドミュージアムという形のミュージアムがあるということがある。公害問題の特徴として全国の公害の実情について分からないとなかなか学びにつながらないという課題がある。だからこそ全国の公害を伝えることを目標に活動、ネットワークを作る活動をはじめ8年がたつ。外の地域の公害について知ることで分かることもあり公害の学びについて考える場を作っていこうとしている。
公害資料館ネットワーク共通展示パネルは簡素だがそれについて議論していくことがとても大事だった。

Q完成したパネルへの反響はどうだったか?
思ったよりもすんなり受け入れられたというのが大きい。公害の共通点を探すという作業は初めての試みで、制作中は苦労した。これからの公害教育の道しるべになってくれたらいい。公害について理解するのは端的に言って難しいこと。法律ができ、規制が始まる前の、反対運動や法律の穴についてはなかなか理解されていない。

Q「戦後」が共通の基盤(出発点)という話があったが、どういうことか?
公害関係者の話し合いのなかで、戦争の被害から復興していくという意識が、全国共通だったと分かった。戦後復興への意識が生んだ経済重視の思想が公害を生むことにつながってしまった。水俣病やイタイイタイ病にも広い意味での戦争はかかわっており、公害と戦争は切り離せない。

Qピースミュージアムの印象は(林さんに向けて)。
メインのスペースが企画展示で、常設展示が少ないのが意外。平和という切り口に納得。展示とそれにより語り合うが重視されている場であることに衝撃を受けた。「平和」というとイコール戦争の有無を想像しがちだが、それ以外の分野からもアプローチしている。
(大串さん)あまり戦争については押し出さず、身近な平和について押し出している。

Qパネルをご覧になって印象は(大串さんに向けて)。
全国的な問題である公害について原因などを7枚で分かりやすくまとめている。SDGsについても取り上げられているが、健康や経済については公害につながると理解できた。パートナーシップについては自分たちの活動にもつながる。

〔質疑応答〕
Q長崎での公害、戦争に対する意識はどうなっているか(特に若者)?
(大串さんより)語り部の減少が心配されている。証言を映像として残す活動が行われている。市民団体によって被爆体験を伝えたりしている。説明ができる人材の育成も進んでいる。
(司会より)高校生平和大使という取り組みも民間の活動で続けられている語り部が減っている傾向はある一方、長崎の報道機関は平和への活動をしっかり取り上げる傾向にあり、被爆や核廃絶に関するトピックを日常的に目にすることができる。

Q現代アーティストが被爆した柿木を再生しその種からの苗を広める活動をしている。植樹の窓口となっていた人のインタビューを見ると原爆よりも平和についての話が多い。平和を目指す意識というものがしっかりと作られている。普遍的なものに対する思いというものは消えないはず。当事者だけが語れるのではなくだれでも語れるもの。

Qアジアとの交流について。韓国のアーティスト等の活動で印象に残ったものはあるか。
(大串さん)自分達は取り上げたことはないがほかの場所では展示や活動について取り上げさせてもらったこともある。
(林さん)参加者に外国の方がいるという形での交流はあるが他国の資料館との交流までは構築できていない。ただ公害資料館の中では、展示やホームページなどでほかの言語に対応しているところもある。富山県立イタイイタイ病資料館は英語、中国語、韓国語、ロシア語に対応している。

(参加者からのコメント)
・公害と原爆に根本に戦争があるというところに共感した。それに加えて被害者が立ち上がって今の制度が出来たという共通点もあるが、国や企業への責任追及については不十分だと感じる。

〔おわりに〕
最後に高田研先生から、大学生とともに行った公害ツアーとドイツでのワークショップのご紹介があり、平和を支える根本概念としての民主主義の重要性が指摘された。また、閉会あいさつでは、実行委員の下田守さんから、「長崎は歴史と空間が交わるところ」であり、来年度のフォーラムに向けて公害との接点を考えていくヒントも示された。

〔参加しての感想〕
戦争と公害に共通点があるという考えを初めて聞き、納得した。環境科学部、特に今のゼミに入って勉強するまで自分も公害は四大公害についてしか知らなかった。公害は全国で起こっており、自分の出身である長崎でも起こっていることを知った時はかなり衝撃を受けた。もっと四大公害以外の公害について一般の人へ認知していく必要があると感じた。
(書記担当:槇優太 編集:実行委員会)

公開日時 : 2021年01月04日 【

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