新潟水俣病の概要
◆阿賀野川を襲った高度経済成長の影
昭和40年に新潟県阿賀野川沿岸での発生が公表された新潟水俣病。阿賀野川上流域の旧鹿瀬町(現阿賀町)で操業していた昭和電工㈱鹿瀬工場が、阿賀野川に流した排水中の有機水銀が原因となって引き起こされた公害でした。
当初肥料を製造していた鹿瀬工場は昭和30年代に入ると有機化学分野に傾斜し、高度経済成長期の日本社会が必要とした合成樹脂や酢酸の原料となる「アセトアルデヒド」の製造に注力します。その製造過程で使用された触媒から副生される有機水銀が排水溝から阿賀野川に流れ出た後、食物連鎖を通じて生物濃縮され、最終的に川魚を日常的に喫食していた沿岸住民に高濃度で蓄積されていきました。
◆失われた「人と人の絆」「人と自然の関係」
こうして当時、日々の労働や食生活など阿賀野川と共に生きてきた沿岸住民ほど深刻な健康被害を受け、手足の先のしびれなど四肢の感覚障害を主とした症状に苦しむ人々は今なお大勢います。
さらに、かつては周囲の偏見・中傷もひどく地域の絆が損なわれた上に、阿賀野川の自然の恵みが汚されたことで、人々が川から遠ざかる一因にもなりました。公害の記憶が思い出されるため、現在でも「阿賀野川ブランド」という言葉の使用をためらう人も少なくありません。
四大公害の中では最初に裁判が提起されましたが、現在に至るまで訴訟は繰り返され、新潟水俣病問題は阿賀野川流域で今なお継続しています。
この団体だからこそ学べる特徴
- 新潟水俣病問題が今も続く阿賀野川流域の地域再生を目指す団体で、これまで「阿賀野川流域地域フィールドミュージアム事業」の企画運営などを担ってきました。
- 公害関連含む阿賀野川流域の膨大な史料を基に制作したパネル・映像作品などを通じて、公害問題を含む流域全体の歴史・文化を俯瞰的に理解できます。
- なぜ新潟水俣病が発生してしまったのか、その発生経緯を社会背景や企業側視点も含めて学べる公害学習プログラム(有料)なども提供しています。
所蔵資料
●阿賀野川流域の歴史・文化・風土を撮影した昔の写真群(※所有者は多数で、公開是非も各資料ごとに異なる)
●阿賀野川流域の鉱山・工場に関連する資料(※所有者は多数で、公開是非も各資料ごとに異なる)
語り部
●語り部ではないが、公害学習プログラムの中で「被害者が現地で語るプログラム」(有料)を提供しています。
●阿賀野川渡船場の元船頭さんで、その方の半生をまとめた映像を鑑賞後、現地でその人生体験を聴きます。
学校連携
●小・中向けと高校・大学向けの2種類の公害学習プログラムを提供しています(※体験料は要相談)。
●半日や2泊3日研修等も可能。出張授業もオプション選択できます。160名規模までの受入れ実績あり。
研修
●公害学習だけでなく、阿賀野川流域の歴史・風土・現在を感受できる産業・自然体験プログラムも提供しています。
●学習理解を深化させるワークショップを組み込んだ大学・企業向け研修プログラムも提供しています。
企業研修
●新潟昭和㈱(旧鹿瀬工場)の現在の排水処理の取組を学ぶプログラムを昭和電工㈱等と開発しました。
●これに公害発生経緯を学ぶプログラム及びワークショップを組み合わせた企業向けCSR研修を提供しています。
貸し出し用展示
●公害関連も含め、阿賀野川流域関連の膨大な史料を基に制作した複数のパネル作品を展示依頼に応じて貸し出しております。
●題材的には、新潟水俣病1点・新潟水俣病を含めた近代日本の光と影2点・阿賀野川流域全体3点・上流域3点・中流域1点・下流域2点。
海外対応
対応しておりませんが、通訳がいる海外グループの受入れ実績はあります。
資料館の基本情報
館名 | 一般社団法人あがのがわ環境学舎 |
開館日または営業時間 | 平日の月曜日~金曜日 9時~17時 ※来訪日については事前相談 |
休館日 | 土曜日、日曜日、祝日、年末年始 ※フィールドワークなどの希望があれば土日も対応可 |
住所 | 〒959-2221 新潟県阿賀野市保田3866-1 〒959-2221 新潟県阿賀野市保田3866-1 |
電話番号 | 0250-68-5424 |
FAX | 0250-68-5424 |
メールアドレス | aganogawa@niigata.email.ne.jp |
ウェブサイトやFacebook などのリンク | 〔HP〕 aganogawa.info/ 〔阿賀の学習教材サイト〕 www.agastudy.info/ |