施設の概要
本館では「水俣病」に関する資料を公開しています。「水俣病」は1968年政府(厚生省)により、メチル水銀化合物による中毒性の中枢神経系疾患であり、チッソ株式会社水俣工場の廃水に起因する公害病である、と認定されました。メチル水銀を含む工場廃水は1932〜68年という長期間流され続け、「魚(いお)湧く海」と呼ばれる豊かな漁場であった水俣湾と不知火海(八代海)を汚染しました。海の魚介類にメチル水銀が濃縮蓄積し、これらの魚介類を食した地域住民にメチル水銀中毒の症状が現れ始めます。そして、チッソ附属病院長・細川一が水俣保健所へ患者発生の報告を行った5月1日(1956年)が「水俣病」公式確認日とされ、1992年以降毎年同日に水俣病犠牲者慰霊式が開催されています。
「『水俣病』は終わっていない」という言葉がよく聞かれます。いま現在も、メチル水銀中毒の症状や社会経済的影響に苦しみながら生活されている方々がいらっしゃいます。広域に渡る被害の全容が明らかにされない中、認定義務付けや国・県・原因企業に賠償を求める訴訟が複数係争中であり、地域名を冠した「水俣病」という呼び名をめぐっても意見が交わされ続けています。アーカイブズ領域では、映像や音声を含む多様な資料の保存と未来へ向けた利活用に多くの課題が残されています。山積みの課題を解決しようと、多くの関係者が連携しながら各取り組みに尽力し続けています。
この資料館だからこそ学べる特徴
本館ウェブサイトで目録公開中の所蔵資料の閲覧・撮影複写・貸出し、および所蔵資料に関するレファレンスと展示を行っています。チッソ水俣工場の廃水を原因とするメチル水銀中毒事件の概観を知ることはもちろん、詳細な事件史研究に資する資料を提供しています(公害の被害者/患者・行政・市民団体・支援者等の活動の記録等)。公開資料はどなたもご利用できますが、所定の手続きがございますのでまずはお気軽にご連絡ください。
※本館では水俣病関係資料の他に、熊本大学史、熊本地域、免田事件、ハンセン病に関する資料を取り扱っています。
展示
常設展はなく、年に1回企画展(オンライン展含む)を行っています。
所蔵資料
水俣病研究会資料(順次公開中)、岡本達明資料(順次公開中)、衞藤光明資料(公開中)、甲斐文朗資料(公開中)、熊本大学大学院生命科学研究部細胞病理学分野資料(公開中)丸山定巳資料(公開中)、チッソ水俣病関西訴訟関係資料(公開準備中)、徳臣晴比古資料(公開準備中)、新日本窒素水俣工場新労働組合関係ビラ資料(公開準備中)
学校連携
大学講義との連携、熊本大学学生ワークスタディの受け入れ
貸し出し用展示
資料貸出しあり
海外対応
ウェブサイトの一部英語対応
関連出版物・教材
『〈水俣病〉Y氏裁決放置事件資料集―メチル水銀中毒事件における救済の再考にむけて』有馬澄雄責任編集, 2020, 弦書房.
資料館の基本情報
館名 | 熊本大学文書館 |
開館日または営業時間 | 月〜金 10:00〜16:00(申込時間:10:00~11:30、13:00~15:30) |
休館日 | 土・日・祝日、年末年始、夏季一斉休業日 |
住所 | 〒860-8555 熊本県熊本市中央区黒髪2丁目39-1 〒860-8555 熊本県熊本市中央区黒髪2丁目39-1 |
電話番号 | 096-342-3951 |
FAX | 096-342-3952 |
メールアドレス | archives@jimu.kumamoto-u.ac.jp |
ウェブサイトやFacebook などのリンク | HP archives.kumamoto-u.ac.jp/ |