熊本水俣病の概要
水俣病は、日本の化学工業会社のチッソ水俣工場から流された廃液中のメチル水銀によって海が汚染され、魚介類を食べた地域住民が健康を冒された公害事件です。1956(昭和31)年、公式に被害が確認されました。メチル水銀を含んだ工場廃液は1932(昭和7)年から1968(昭和43)年まで、36年にわたって流され続けました。1959(昭和34)年にはチッソ社内研究班がおこなった実験によって工場廃液が原因だと確認された後も対策はとられず、山間部や不知火海沿岸地域全体にまで被害は拡大しました。
メチル水銀は脳細胞を破壊し、中枢神経や内臓など全身に影響を及ぼします。母親の胎内で水銀の被害を受けた胎児性水俣病も発生しました。健康被害は濃厚汚染によって発症から短期間で死亡した劇症型水俣病だけではなく、手足のしびれなどの慢性症状に苦しむ人が数多くいます。これまでに熊本県と鹿児島県で6万人以上が手帳などを受け取っていますが、現在も被害を訴える人が後を絶ちません。
この資料館だからこそ学べる特徴
ネコを用いた実験で使用された小屋、「怨」の文字が抜かれた黒旗、水俣湾に堆積した水銀ヘドロ、水俣湾に張られていた仕切り網、石牟礼道子の「苦海浄土」生原稿などの実物の展示が多いのが特徴です。実際に漁村や患者運動で使われていた実物は感性を刺激します。被害者の側から公害事件を語ろうとしており、行政の運営する資料館では得られない知見があります。また、展示解説中の対話や意見交換も目玉です。
展示
敷地面積232.41㎡
水俣病事件を永く私たちの記憶にとどめ、この経験を出発点として、社会のあり方を考えるために設立されました。不知火海の自然と暮らし、水俣病の被害や患者の闘い、チッソ・行政による加害行為などを記録し、被害者の視点から展示しています。職員の展示解説も目玉です。
所蔵資料
水俣病関連資料を約10万点、水俣病関連新聞記事を約10万点所蔵しています。水俣病関連資料のうち約7割はホームページから検索でき、研究者や大学生などに利用いただいています。
語り部
患者や学校教員、元チッソ職員、市役所職員、水俣市民など、様々な立場の人たちの講話をコーディネートします。お電話かメールでお申し込み下さい。
学校連携
大学のゼミ合宿のコーディネート、小中高校のまち案内や教員の研修の受け入れ、熊本県内の高校・教育事務所への出張授業などを実施しています。お電話かメールでお申し込みください。
研修
水俣まち案内を実施しています。基本コースは4時間ですが、ご要望に応じて様々なコースや体験学習をコーディネートします。館内研修プログラム、フィールドワーク、人権研修、企業研修などに対応しています。
企業研修
対応しています。
貸し出し用展示
水俣病歴史考証館の展示を元にした説明パネル、ユージン・スミスや鬼塚巌の写真セット、水銀ヘドロや漁具、怨旗や水俣湾仕切り網などの実物セットを最高80点までの貸出をいたしております。
海外対応
英語には対応しております。
関連出版物・教材
「図解水俣病」
水俣病歴史考証館の展示をほぼ収めています。
資料館の基本情報
館名 | 一般財団法人水俣病センター相思社 水俣病歴史考証館 |
開館日または営業時間 | 平日 9時~17時 日曜・祝日 10時~16時 |
休館日 | 土曜および年末・年始 |
住所 | 〒867-0034 熊本県水俣市袋34 〒867-0034 熊本県水俣市袋34 |
電話番号 | 0966-63-5800 |
FAX | 0966-63-5808 |
メールアドレス | info@soshisha.org |
ウェブサイトやFacebook などのリンク | HP www.soshisha.org www.minamatadiseasemuseum-jp.net/ @MDC_Soshisha |